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#「世界の国境を歩いてみたら…」番組取材班「世界の国境を歩いてみたら…」

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「世界の国境を歩いてみたら…」「世界の国境を歩いてみたら…」番組取材班 著(河出書房新社

四方を海に囲まれた日本に住んでいると、国境のイメージがなかなか頭に浮かびません。海外旅行で空港の出国ゲートを通過する時「ああここから日本でないのか」と思うだけです。でも実際は地続きに日本に足をつけ、日本の空気を吸っているのてすから、国境は抽象絵画を見るように想像の中の存在に過ぎないのです。

番組取材で海外に行くと、国境の姿はいきなり具体的に見てきます。異なる文化や社会が地続きに繋がっている世界では、紛争を避けるため国境を作ります。お互いの関係が緩やかだったり、国境周辺の土地が両国にとって利益をもたらさないところではかなりいい加減な扱いで線引きされているところがあります。しかし関係が険悪だったり、利害関係が極端だったりするところほど、国境の壁は高くなり警備は厳重になったりします。行って見てわかるのは人間の愚かさの象徴が壁となって現れているのです。

本書は愚かさを暴く言論ジャーナリズムとは正反対。野次馬根性で現場を見に行く助平根性丸出しの企画が本になったものです。視線はあくまで人間目線から上に上がりません。しかし、だからこそ国境という人間が勝手にこしらえたハリボテの価値観を藪睨みで眺め尽くすことができるのです。